中谷美紀インド1人旅エッセー発表

ひぇー、スゴイ。

 女優中谷美紀(30)が、書き下ろし紀行エッセー「インド旅行記1 北インド編」(幻冬舎文庫)を8月4日に発表する。昨夏から4度、計94日間にわたって、インドのほぼ全域をたった1人で旅した記録の第1弾だが、そこは外務省が危険情報を出している国。パスポート盗難、腹痛、ネズミの大群などさまざまな困難が待ち受けていた。ハラハラドキドキ、泣いて笑って、映画よりドラマチックな異色の冒険譚(たん)として話題になりそうだ。

 今回は、昨年8月2日から9月8日に北部10都市をめぐった記録をまとめた。1人で長距離列車に乗り、乗客の質問攻めと格闘。街ではパスポートやデジタルカメラを盗まれて裁判所行きの危機に直面。寺院では数千匹のネズミの大群に遭遇し、女性ボクサーにけんかを売られたことも。腹痛や高山病に苦しみ、辺境の壮絶な屋外トイレも体験…。トップ女優の顔が通用しない土地で次々に襲いかかる困難な旅路を、鋭い観察力と率直な考察、豊かな表現を駆使しながら克明に描写している。

 インドは、外務省がその全域に「十分注意してください」の危険情報を出し「最新の治安情報の入手に努め、テロの標的となる場所には近づかない」「女性の1人旅は危険なので避ける」などの注意をうながしている。そんな土地に、女優がなぜ、単身で乗り込んだのか−。中谷は「あの時期、精魂ともに尽き果て完全に疲弊していました。もう何もできない。何もしたくない。そんな思いを振り切り、前進せざるを得ない強烈な状況に身を投げ入れたのです。心身に入り込んだけがれを落とすのが目的でした」と説明する。

 あの時期とは、公開中の主演映画「嫌われ松子の一生」の撮影終盤、昨年7月を指す。女優観を一変させるほど心身両面で過酷な現場だったという。アイデンティティーを回復しなければ先に進めないと考え、1人旅を決断。傾倒するヨガの本場ということもあって、インドを選んだ。

 出発は撮了から約2週間後。その後、9月30日〜10月27日=南部、12月1〜13日=東部、同21日〜今年1月4日=西部とめぐった。何度も足を向けた理由は「手の内を明かさず、他人の私生活をせんさくする人々のずうずうしさがおもしろかったから」といい、旺盛な好奇心がさせたようだ。

 インド体験の前後でどう変化があったのか。中谷はこう答えた。「自分がこだわっていることが、他人や世界にとってどれだけ重要か考えると、どうでもよく思えてきます。細分化された階級社会、多様な価値観を見て、なんびとも物事のよしあしや正誤を定めることなど不可能だと再確認できました。つまり、映画が人生のすべてではないと確信しましたので、アイデンティティーの回復がかないました」。

 中谷は2月初めに仕事を再開した。「新しい役柄に対する恐れは毎回ありますが、どこかで運命にゆだねたり、これがだめでもなんとかなるさという気持ち」で臨んでいるという。

 多彩な執筆活動でも評価されているが、今回は優れた紀行文であると同時に、1人の女優の等身大の本音がうかがえる私小説とも、1人の女性の再生をめぐるエンターテインメントとも読み取れる一冊といえる。

カッコイイな、こんな女優がインド一人旅か…
ちょっと読んでみたいかも。
買ってみようかな


ていうかオイラも海外一人旅したい。